春
三月の終わり、柳の若葉と桜の花びらが重なり合う季節。淡い霞が入江全体を包み込み、輪郭の柔らかな景色が広がります。
花びらが水面に浮かび、風のたびにゆっくりと流れていく様子は、まるで絵巻物のようです。
柳の枝先に芽吹く若葉は、淡い黄緑色。冬の間眠っていた入江が、少しずつ息を吹き返していくのを感じられます。
朝晩はまだ肌寒く、霞のかかる時間帯が多いのもこの季節ならでは。
花は静かに散り、水はそれを受け止める。それだけの光景に、心が凪いでいく。